令和5年12月20日にアルツハイマー病新薬であるレカネマブ(レケンビ®)の製造販売がわが国でも承認されました。当院脳卒中内科では、同薬剤の適応判断と使用できる体制を整えております。レカネマブはアルツハイマー病で脳内に蓄積する病因タンパク質(アミロイドβタンパク質)を除去し、認知機能低下の進行を抑制する点滴治療薬です。アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)あるいは軽度認知症の患者さんに限り使用できる薬剤です。
以下、当院でレカネマブ治療を希望される患者さんの受診予約からの流れを説明させていただきます。なお初診を含む以下のレカネマブ診療に係る来院は原則ご家族など介護者の同伴が必須となりますので、ご留意ください。
⇒ MMSE 22点以上の患者さんが対象となります。
⇒ 頭部MRI検査で判定します。
⇒ 当院では原則アミロイドPETを用いて判定します。
①~③の全ての基準を満たした方は新薬を使える可能性があります。上記の規定に従うと、実際に投与対象となる方は限定されるのが実情です。現在、近隣医療機関の脳神経内科・脳神経外科で適応判断のうえ、ご紹介いただく形をとっています。
前記以外の先生が紹介される場合、レカネマブ紹介事前チェックシートをご記入いただき、適応があるようであれば(①MMSEだけはご確認を頂けますと幸いです)、地域連携室(電話042-984-4433、FAX042-984-4740)を介して当院に直接紹介いただくことも可能です。いずれの場合も専門的な診察や検査の枠に制限があり、適応判断まで4週間前後かかることが想定されます。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
薬は2週間に1回、1時間程度の点滴で投与されます。初回は1泊2日の入院での投与、2回目以降は外来での投与となります。治療は原則18ヶ月継続して行われます。定期的に副作用の確認のため診察、頭部MRI検査を受ける必要があります。副作用としては、脳浮腫・脳出血、アレルギー反応などです。重篤な副作用が出現する場合は、投薬を中止します。
レカネマブは、アルツハイマー病の進行を抑制させる可能性がありますが、改善させる薬ではありません。また、薬価が比較的高額ですが、高額療養費制度の利用が可能です。
レカネマブ投与を検討される患者さんがいましたら、予約取得時にその旨をお伝えいただき、脳卒中内科 水曜午前の須田智、月曜午前、第1・3金曜日午前の加藤裕司のいずれかの外来枠を予約ください。