日高キャンパスの埼玉医科大学国際医療センター(以下 国際医療センター)は、第4次埼玉県地域保健医療計画に基づき埼玉県全域を範囲とし、がん・心臓病に対応する高度専門特殊医療や救命救急医療の提供を目的として計画された。
その経緯は、まず平成14年10月29日に埼玉県より医療整備計画の公募があり、本学は、日高キャンパスに病床数600床とする国際医療センター開設計画を明確に示し、これに応募した。平成15年10月27日に採用が決定された。その後、病院開設許可申請書(基本設計書添付)を提出し、平成16年3月30日付で病院開設が許可され、平成19年4月に開院しました。
開院の準備は、平成16年8月1日に開設準備委員会が組織されたことに始まる。多くの作業部会で議論を重ね、実施計画を作成する段階に至り、欧米の先進的な医療施設を視察することとなり、「埼玉医科大学国際医療センター計画・欧米医療施設視察団」が組織され、13日間にわたり欧米の8施設を訪問した。この報告書は本章の最後にまとめてあります。
国際医療センター開院時の構成は、(1)包括的がんセンター300床、(2)心臓病センター200床、(3)救命救急センター100床で合計600床である。全600床のうち、400床が増床で200床が毛呂山キャンパスの埼玉医科大学病院からの移転である。平成19年1月に竣工、平成19年4月開院しました。
国際医療センターは埼玉県全域を範囲とし、がん、心臓病に対応する高度専門特殊医療に特化し、かつ高度の救命救急医療を提供する。
平成19年4月の開設後3年以内に、計画されたすべての病院機能を全稼動する。さらにその後5年以内に、わが国における最も卓越した医療センター、Center of Excellence(COE)を目指す。
国際医療センターにはグローバル・スタンダードからみて世界の第一級のメディカルセンターとして高度の医療を提供しようという精神が基本にある。また、文字通り外国からの患者の受け入れや医師、ナースなどのトレーニング、あるいは共同研究のための国際交流を前提とした病院の運営を行う。
国際医療センターの基本理念は「安心で安全な満足度の高い医療の提供をし、かつ最も高度の医療水準を維持する」ことである。
国際医療センターでは徹底的に患者中心主義(Patient-oriented)であり、あらゆる面で“患者にとって便利”であることを主眼としている。
国際医療センターでは患者ひとり一人にとって最も適切なオーダーメイドとも言うべき医療の提供を目指している。そのために具体的には“内科”とか“外科”というような各診療科の枠を超えて個々の患者をケアする。“内科”や“外科”という垣根は全く存在せず、各診療科のボーダーレスやオーバーラップは当たり前である。必要に応じて複数の診療科による併診が行われ、安心で安全な医療をシステムとして確立する。
国際医療センターの入院/外来の比率は1対1を目指している。平均在院日数は14日以下を目標としている。“地域医療連携ネットワークにおけるクリニカル・パス”の実現によって、在院日数の短縮を図る。また、外来は埼玉医科大学病院と緊密で相補的な関係を維持する。 開設の本来の目的である高度専門医療に特化するという使命から、連携施設との緊密なネットワークを構築することは最も重要な基盤整備である。外来は精査や入院依頼の患者に対応するために紹介患者レセプションの機能が重要である。外来のレセプション・デスクはちょうどホテルのコンシェルジュのような雰囲気を持っている。国際医療センターの広いエントランスホールは患者さんに心安らぐ癒しの空間を提供することを意図している。患者さんがしみじみと”この病院でなら自分の病気は本当に治りそうだ”という雰囲気をかもし出すように配慮されている。