当院には病院長を委員長とする医療安全対策委員会があり、その実務遂行のための下部組織として医療安全対策部会、医療安全対策セーフティマネージャー部会、医療事故調査部会を設置し、さらに関連委員会及び関連部署(感染対策室、診療情報管理室、防災センター、利用者苦情相談室、医薬品安全管理委員会、医療機器安全管理委員会、放射線治療品質管理委員会等)と連携をとり医療安全対策活動を統括しています。医療安全対策室は、医療安全対策委員会が決定した方針に基づき、組織横断的に安全管理を行っています。
また、院内で新たに難度の高い医療技術を導入する場合や、保険診療で認められていない薬剤を使用する場合などは、それぞれ新規医療技術導入審査委員会、医薬品適用外審査委員会で厳重な審査を経てから実施されます
医療安全対策室には、以下のスタッフ(計14名)が在籍し、各職域から選出されたセーフティマネージャー約200名と協働して医療安全活動を行っています。
<専従>
医師1名
看護師2名
薬剤師1名
臨床検査技師1名
臨床工学技士1名
事務員2名
<兼任>
医師3名
診療放射線技師1名
理学療法士1名
管理栄養士1名
1.医療安全ラウンドの実施
医療安全対策室員は定期的に院内をラウンドし、安全手順の遵守状況を確認しています。
また、インシデントの報告を受けた場合は、必要に応じ現場に赴き、医療安全の視点から分析、指導を行います。
2.患者安全に関する職員教育
(ア)全職員を対象にした医療安全に関わる講習会
全職員を対象にした医療安全に関わる講習会を定期的に実施しています。
(イ)インシデント事例分析手法の教育
各セーフティマネージャーは、部署内で起こったニアミス・インシデント事例について、職場単位で根本原因分析(RCA)を行っています。事例に対する発生原因の特定、対策立案、改善後の結果について、プレゼンテーション形式で発表会を行い、院内で共有しています。
(ウ)Team STEPPS(チームステップス)研修
医療現場で発生する重大なインシデントは、その多くにコミュニケーションエラーが関与しているといわれています。私たちはTeam STEPPS研修を通じて、ノンテクニカルスキルの重要性を学び、職員のコミュニケーション能力向上に努めています。
3.医療事故防止に向けた職員への啓発活動
(ア)PMDA・医療機能評価の医療安全情報の周知
(イ)医療安全ニュースの発行
インシデント報告とは、一歩間違うと事故につながりかねないような出来事(インシデント)を医療現場で発見した際に職員が提出する報告書です。医療安全対策室では、その内容を分析し、院内で共有することにより、類似するインシデントの再発や、医療事故・医療過誤の発生を未然に防止することに役立てています。インシデント報告数の多さは、医療安全文化の高さを示していると考えています。
警鐘的なインシデントに関しては、多職種によるRCAを行い、再発防止対策を立案し実施している。なお、再発防止対策については、実施状況や改善効果のモニタリングを行っています。
2.故障モード影響度解析(FMEA)
医療現場の業務プロセスに潜んでいるリスクを分析し改善することで、事故やインシデントを未然に予防する取り組みを行っています。
FMEAワークショップでは、分析テーマに関わっている職員が集まり、FMEA手法を学ぶとともにリスク評価、リスクの優先度に応じた対策の実施により、リスク低減につなげています。
当院は、がん、心臓病に対応する高度専門特殊医療に特化し、かつ高度の救命救急医療を提供する病院であるとともに、高い水準の医療安全を確保するため、外部委員で構成する医療の質・医療安全監査委員会を設置しています。
医療の質・医療安全監査委員会は、当院と利害関係がなく、医療安全や法学などの高い専門性を持った第三者及び一般患者さんの立場の委員で構成され、当院の医療安全管理者、医療安全対策室、医療安全対策委員会、医薬品安全管理責任者等の業務が適切に実施されているか等を監査し、必要に応じて是正措置を講じるよう病院開設者及び管理者に対して意見を述べるものです。
なお、医療の質・医療安全監査委員会は毎年2回実施することとし、監査の報告書については、以下の如く公表しています。