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当科は2005年7月に本邦に於いて2番目に開設された、頭頸部外科専門診療講座です。上縦隔より鎖骨上で脳腫瘍・脊髄腫瘍などを除く全ての腫瘍性疾患を治療対象としています。頭頸部癌は日常のコミュニケーション機能に密接に関わる部位から発生するため、その治療に際して、生命の維持のみでなく、音声、嚥下機能などの機能温存を図ることが重要となっています。当科では形成外科、放射線腫瘍科、腫瘍内科と共同して、治療をすすめております。手術治療を基本として、腫瘍の種類・性質・進行度によっては放射線治療(これに化学療法を併用することもあります)を選択いたします。手術治療においては、耳鼻咽喉科、形成外科、口腔外科による共同診療体制のもと、腫瘍を切除した部位を再建する際にも可能な限り機能及び形態の温存を試みる方針を とっております。
また、進行、再発がんに対しても脳外科と共同で頭蓋底手術、再建手術、超選択的動注療法、サイバーナイフ照射等の治療を適宜組み合わせて、状態に応じた最良の治療を模索しております。
定期的に放射線腫瘍科を始めとして、内分泌内科、病理診断科などとカンファレンスを開き、治療内容の再検討を行っております。また全国組織の治療研究グループに参加し、各種疾患の最先端医療を提供できるよう努めています。
当科の特色
当科における最大の特徴は治療方針にあります。頭頸部臓器は音声、嚥下、コミュニケーションに密接に関連する部位であり、当科の方針としては、手術治療を基本としていますが、それにとらわれることなく、放射線治療、化学療法などを積極的に取り入れ、機能温存を追求しています。当科は、形成外科、放射線腫瘍科、臨床腫瘍科、外科、脳外科、口腔外科などが関与する頭頸部癌集学的治療チームの要として機能しています。埼玉県には頭頸部癌専門病院は当科と埼玉県立がんセンターしか存在せず、埼玉全県、東京都多摩地区から多数の患者が集まっており、大学附属病院では全国屈指の症例を誇っています。本学では、平成19年4月より甲状腺腫、上皮小体腫瘍も、当科が担当しています。腫瘍外科のみならず、音声障害、嚥下障害の外科的治療、いわゆる喉頭機能外科の分野にも力を入れ、患者さんの治療終了時の障害の軽減に努めています。また、当院は日本耳鼻咽喉科学会、日本気管食道学会専門医、日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医 研修認定病院です。
当診療科の対象疾患は次のようになっております。
喉頭腫瘍、上・中・下咽頭腫瘍、舌腫瘍を中心とした口腔腫瘍、上顎腫瘍などの鼻・副鼻腔腫瘍、耳・側頭骨腫瘍、甲状腺腫瘍、耳下腺・顎下腺などの唾液腺腫瘍等新患数は年間600例を超えております。頭頚部癌は早期発見することで、治療成績のみ成らず、機能温存が図れます。腫瘍性疾患が疑われたときは気軽にご相談下さい。
当診療科では次のような症状を扱っております。
声のかれ
首のしこり
飲み込み時の痛み
口内のただれが持続するとき
甲状腺腫瘍専門外来
2015年4月から甲状腺腫瘍専門外来を開設しました。
専門外来の特徴
我々頭頸部外科医の持つ専門資格の一つに頭頸部がん専門医があります(当科には5名の頭頸部がん専門医が在籍中です)。頭頸部がん専門医の資格認定では、甲状腺癌も重要な疾患の一つです。日本において甲状腺癌治療を行う治療科としては我々耳鼻咽喉科・頭頸部外科以外に内分泌外科などがあります。それぞれの領域の特徴を生かした診療を行っているのが実情です。甲状腺自体は、頸部気管前面に存在する数センチの内分泌臓器であり、小さな腫瘍であれば大きな合併症なく通常手術が可能です。しかしながら進行した甲状腺癌では、喉頭、食道および気管などに進展するため重要臓器の合併切除を余儀なくされたり、治療によって生じる呼吸、嚥下および発声に対する機能維持・機能改善に対する配慮が必須になります。生命や社会生活を送る上で極めて重要なそれらの機能に精通した頭頸部外科医が甲状腺癌の治療を担当する理由はまさにそこにあります。
対象
甲状腺の病気は、大きく分けると甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの異常により起こるものと甲状腺ホルモンの分泌は正常であるが甲状腺内にしこり(結節)が生じるものの2種類があります。前者の代表としてはホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病や逆にホルモンの分泌が少なくなる橋本病があります。これらのホルモンに異常をきたす疾患については、内科治療(薬を用いる治療)が主体となるため当科では扱いません。そのような病気と診断された患者さんは当院関連施設である埼玉医科大学病院糖尿病・内分泌内科と連携して治療を行います。後者のしこり(結節)には癌や良性腫瘍、さらには非腫瘍性のものまでさまざまなものがあります。これら甲状腺結節の頻度は極めて高く現在も増加しつつあります。その理由として、従来の触診に頼っていた健診から現在では高性能の超音波検査が一般化したためわずか数ミリの無症状の甲状腺結節まで見つかるようになってきました。しかしすべての甲状腺結節が治療を要する癌であるということはなく、癌である割合は超音波検査で見つかる結節を母集団とした場合、男性1.90%、女性3.18%に過ぎません(甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013)。
治療の流れ
甲状腺結節が見つかった場合重要なことは、先に述べたわずか1-3%程度に過ぎない癌をいかに的確に診断するかということです。癌でない結節については基本的に生命関わることが少ないため手術を要することなく経過観察となります。
甲状腺結節を認めた場合、まず第一に行うべき画像検査は超音波検査です。癌の疑われる結節かどうかを当院では甲状腺結節の診断に長けた経験豊富な検査技師の行う頸部超音波検査にて判断します。
また甲状腺癌には数種類の癌が存在しますが、乳頭がんと呼ばれる種類が全体の9割以上を占めています。そのため本項では乳頭がんの診断の流れをお示しします。
乳頭がんは、がん細胞自体に特徴的な点が多いため細胞を顕微鏡で観察する方法で摘出前に診断が可能となります。超音波検査で同定された結節を、頸部より細径の針で刺し細胞を採取します(超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診)。その細胞診の結果乳頭がんの可能性が高いと判断された場合はじめて、治療として手術による甲状腺摘出術をお勧めします。甲状腺の切除範囲については、年齢、腫瘍の大きさ、随伴症状および転移(頸部、全身)の有無等を考慮し決定します。また、全身転移がすでにあったり、再発や全身転移のリスクの高い場合には甲状腺全摘術を行い、さらに手術後に放射性ヨードの内服治療を当院関連病院である埼玉医科大学総合医療センターや他の施設と連携して行っております。
頭頸部内科外来
頭頸部がんに対する薬物療法を専門に診療する頭頸部内科医が新たに当科に着任したことにより、これまで以上に高度で質の高い医療を目指し診療に取り組んでいきます。
現在、頭頸部がん、甲状腺がん領域において、薬物療法(分子標的薬や免疫療法など)の開発が急激に進んでいます。遺伝子パネル検査も保険償還され、薬剤の選択の幅が広がってきています。積極的に支持療法、復職へのサポートなどを行うことで、治療を行いながら生活の質を低下させない取り組みも進められています。また、当科では、標準治療のみならず、各種臨床試験、国際共同治験にも積極的に取り組んでいます。
頭頸部を扱う腫瘍内科医数はまだまだ不足しておりますが、当科では腫瘍内科医が着任しました。頭頸部外科、形成外科、歯科、看護師、薬剤師、栄養士、言語聴覚士、理学療法士と連携し、患者さんへの治療にあたっています。セカンドオピニオンも含め、ご相談いただければと思います。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
---|---|---|---|---|---|---|
初診 |
中平 光彦 (午後) |
-- |
蝦原 康宏 (午前) 松村 聡子 (午後) |
井上 準 (午後) |
-- |
交代制 (午前) |
午前 | 中平 光彦 | 林 崇弘 |
蝦原 康宏 村松 聡子 甲状腺腫瘍専門外来 |
山﨑 知子(頭頸部内科) 井上 準 榎木 祐一郎 |
菅澤 正 (第1・3週) 久場 潔実 (第2週) |
小柏 靖直 (第4週) 交代制 |
午後 |
山崎 知子(頭頸部内科) 塘田 健人 甲状腺腫瘍専門外来 |
-- |
蝦原 康宏 村松 聡子 甲状腺腫瘍専門外来 |
山﨑 知子(頭頸部内科) 井上 準 榎木 祐一郎 甲状腺腫瘍専門外来 |
山崎 知子(頭頸部内科) | -- |
紹介状を持ってご来院下さい。原則として、紹介状なしの初診は受け付けません。
当科では、毎日初診を受け付けていますが(月〜土)、予約を取ってご来院下さい。
予約なしの場合は、長時間お待ちいただくことになります。
呼吸困難、嚥下障害等で、緊急に受診が必要な場合は、対応いたしますので、紹介前に電話でご一報ください。
早期の治療開始のためにも、生検のプレパラート、画像等を持参してください。
頭頸部癌は気道、食道管理が特殊なため、病診連携が困難であるのが現実です。
甲状腺腫瘍は症例も多く、長期の経過観察を要する例が大半であり、今後、連携施設を募り、病診連携体制を築きたいと思っております。
診療部長、教授
診療副部長、教授
教授
助教
助教
助教
助教
助教
助教
助教(専攻医)
助教(専攻医)
助教(専攻医)
客員教授
非常勤講師
非常勤講師
非常勤講師
非常勤医師
非常勤医師
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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初診 |
中平 光彦 (午後) |
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蝦原 康宏 (午前) 松村 聡子 (午後) |
井上 準 (午後) |
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交代制 (午前) |
午前 | 中平 光彦 | 林 崇弘 |
蝦原 康宏 村松 聡子 甲状腺腫瘍専門外来 |
山﨑 知子(頭頸部内科) 井上 準 榎木 祐一郎 |
菅澤 正 (第1・3週) 久場 潔実 (第2週) |
小柏 靖直 (第4週) 交代制 |
午後 |
山崎 知子(頭頸部内科) 塘田 健人 甲状腺腫瘍専門外来 |
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蝦原 康宏 村松 聡子 甲状腺腫瘍専門外来 |
山﨑 知子(頭頸部内科) 井上 準 榎木 祐一郎 甲状腺腫瘍専門外来 |
山崎 知子(頭頸部内科) | -- |